どうも!2017年は沖縄で迎えようと画策中のライターのカナモです!
みなさんに朗報です。
これを読んでる日本人のみなさんは、世界有数の難解な言語を自由自在に操っている、言語の達人です。それに対してもっと誇りを持って良いと思いますよ。
しかし、喋れる(読める・書ける)のと、理解しているのは全くの別物です。
今回は、そんな難解で奥深い言語の世界をできるだけ分かりやすく解説したいと思います。
言語の種類
本題に入る前に、世界の言語についてザックリと説明します。世の中の全ての言語は
- 孤立語
- 屈折語
- 膠着語
- 抱合語
という4つのカテゴリーに分類することができます。
孤立語で代表的なのは中国語です。
文字単体に独立した意味があり、語順を変えるだけで意味が変わるという特性があります。
屈折語はヨーロッパ言語に多いようです。例えばフランス語で「話す」を表す動詞は、主語によって
- Parler
- parle
- parles
- parle
- parle
- parlons
- parlez
- parlent
- parlent
と、こんなにも変化します。
膠着(こうちゃく)語は、独立した語と語の間に「〜を、〜に、〜で、〜は」などの語をペタペタくっつけるのが膠着語の特徴と言えます。日本語は典型的な膠着語です。
抱合語は、一語の中に複数の意味を含めた言語です。古代語と言われる古い言語に、この特性が多く見られるようです。イヌイット語とかアイヌ語とか。
例えるなら、「ウンコ」という言葉に「トイレのドアを開け、便座に座ってキバった末に出る物体」という意味が含まれているような感じです。あくまでも例えですよ。
まぁこんな感じで各言語をカテゴライズできます。ただし完璧な屈折語や膠着語などは無く、主に孤立語の要素が大きいとか、膠着語の要素が大きいといった感じです。日本語は膠着語をベースに、屈折語のテイストも入った言語であると言えます。
あまりここを深掘りするととてつもなくややこしくなってくるんで、日本語は膠着語だということだけ覚えておけばいいかと思います。
日本語は難しい
よく聞くセリフですね。日本語は難しい。
こういった認識を持ってる人も多いと思いますが、実際どこが難しいのか、日本語教師資格持ちの私が詳しく解説してしんぜよう。心して聞くがよい。(急に偉そう)
文字種の多さ
英語を文字に起こす時、使うのは27種類のアルファベットのみです。中国語は漢字で、サンスクリット語はあれです、わけわからんやつ。
しかし日本語には
- ひらがな
- カタカナ
- 漢字
- ローマ字
の、4つの文字を使い分ける必要があります。数字だってアラビア数字と漢数字、旧字体の漢数字など色々理解している必要があります。
日本語が難しいと言われるのは、そういった文字の多様さが主な原因のひとつです。
一人称の多さ
英語で「わたし」は「I」「me」です。
しかし日本語では「私」「僕」「俺」「自分」「拙者」「マロ」「うち」「あたい」「あちき」「我」「わし」「おいどん」「拙僧」「我輩」「小生」と、自分の事をどう呼ぶかの選択肢が超広いです。
外国人は、これが全て「わたし」と同じ意味だとは、相当勉強しないと理解出来ないでしょう。因みに「my」「mine」は「わたしの」という意味になるんで省いてます。
言語習得の第一歩である一人称がこれだけややこしいと、そりゃ日本語は難しいと言われてもしゃーない。
オノマトペがハンパない
オノマトペとは擬音語・擬声語・擬態語の総称なんですが、その種類は日本語が世界一です。
川の流れる様子を表すだけでも「サラサラ」「チョロチョロ」「キラキラ」「ドドドド」「ゴゴゴゴ」「ドッギャアーン」「メメタァ」「パパウ パウパウ フヒィーン」など、色々あります。変なの混じってる?
他にも、爆発音を英語で表すと「bomb」「bang」ですが、日本語では「ボン」「ボカン」「ドカーン」「ズゴーン」「チュドーン」「ドーン」「ニャーン」など、オノマトペの豊富さはダントツです。
しかも日々新しい効果音が生み出されています。
別に爆発音が「ポギャーン」とかでもいいわけです。
そしてオノマトペには漫画が深く関わっています。「シーン」というオノマトペを、みんな一度は使ったことがある筈です。あれは手塚治虫が自分の漫画に書いた無音表現なんです。
語彙が抜群に多い
でも実際に習得するには、日本が他国語よりも大変なのに変わりはありません。各国言語を90%以上理解するのに必要な語彙数は
- フランス語・・・2000語
- 英 語・・・3000語
- ドイツ語・・・・5000語
- 日本語・・・・・10000語
と言われています。フランス語の5倍やないか。
習得が難しいと言われているドイツ語ですら、日本語の半分です。「日本語は難しい」と言われているのは、この語彙数の差が大きな要因だと考えます。
「日本語は曖昧」は間違い
よく「日本語は曖昧な表現が多いから難しい」と言う人がいます。が、それは間違いです。海外の言語にも曖昧な表現は山ほどあります。単にその表現を日本人が知らないだけなんです。
言語は、断定的な表現であるほど簡単で、曖昧な表現になればなるほど難しくなります。
日本語で考えてみましょう。
例えば採用面接の合否通知に「不合格です。」と書かれていたら、失礼ではあるけど分かりやすいです。
しかし同じ意味でも「誠に残念ながら、ご希望に添いかねる結果となりました。」と書かれると、丁寧な印象は受けますが、非常に複雑な表現になります。
つまり曖昧・丁寧な表現は、ネイティブスピーカーでないと理解しにくいということです。裏を返すと、簡潔な言葉はフランクな(失礼な)表現になりがちだということです。
英語で「Where is the Police station?」(警察署どこ?)と言えばだいぶ乱暴な言い方ですが、丁寧に言うと「Could you tell me where the Police station?」(警察署がどこにあるか教えて頂けますか?)となります。
丁寧な表現の方がどう考えても難しいでしょ?
つまり「日本語の表現は外国語よりも曖昧で難しい」と言ってる人は、単に外国語に対する知識・理解が浅いだけです。
かくいう僕も外国語はサッパリですわ。
まとめ
難しい言語の方がより発達した言語なのかというと、そうではないと思います。言語において重要なのは「伝わりやすさ」と「使いやすさ」です。
つまり少ない語彙数で修得できるフランズ語や英語の方が、コミュニケーション手段としては優れています。その点では、日本語は世界屈指の使いにくい不便な言語であると言えます。
しかし日本語ネイティブスピーカーのみなさん、落ち込むことはありませんよ。日本語は「文章にすると世界一表現力の豊かな言語」です。
英語で「I a…I a…」(私は…私は…)と言うのと、
日本語で「私は…俺は…」と言うのでは、深みがだいぶ違いますよね。
普段「私」と言ってる人が「俺」と言うような状況って、すごいドラマ性があります。
まぁそういうことです。
今回は「言語」というとんでもなく複雑なものの、一番上に張った膜をちょっとだけすくってみた程度の内容です。
世界中の誰ひとりとして、言語を完璧に理解している人なんていません。何故なら、同じ言葉でも人によって意味が違うからです。
例えば「正義」とはどんなものだと思いますか?
「仮面ライダーのこと」と思う人もいれば、「自分が正しいと思ったこと」と考える人もいるでしょう。つまり「正義」という言葉は、それらに共通する何かを無理やりカテゴライズしたものなんです。だから人によって意味が違ってくるのは当然です。
こういった意味のズレは程度の差はあれど、すべての言葉において発生します。
だから言語を完璧に理解することなんて不可能なんです。
言語って面白いよね。
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